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そのため,2019年に中1になったお子さんは,小5で教科として学習しないといけない英語の内容は,習っていなくても習ったこと扱いされる,狭間の学年となります。それ以外にも2020年に一斉に教科書が変わりますので,2019年に小1~小5のお子さんも「移行措置期間」のリーフレットで学習済みになる狭間の学年となります。
では,もう少し詳しくお話ししていきましょう。
(1)小5,6 の 英語教科化
〔聞く・読む・話す・書く 4技能レベルで600~700語の英単語習得〕
⇔ 英検5級の使用語彙数は300~600語
(2)算数・数学の学習単元前倒し
小5で学んでいた「割合」が小4に,
小6で学んでいた「速さ」が小5に,
中1で学んでいた「資料の調べ方」が小6に移行します。
⇔ これまででさえ,「割合・速さ」が原因として算数嫌いが増えていただけに心配です。
(3)プログラミング教育の充実
安倍晋三首相は「AIやビッグデータなどのIT、情報処理の素養はこれからの時代の『読み書きそろばん』」と位置づけています。
⇔ 指導者が圧倒的に不足している状況で,学校で授業が成り立つのか不安です。
(4)「アクティブ・ラーニング」の導入
(5)6年間で140時間の授業時間増
都市部の中学入試では既に多数の学校で導入されています。上位校では,文法・単元は「英検5級程度」,長文などの語彙数は「英検4級程度」の難易度の問題が出題されています。
②学級崩壊の低学年化が加速する恐れがあります。
前回の指導要領改訂以降,小学校高学年の学級崩壊が敦賀市内でも増えているように思います。勉強が分からなくなる原因の単元が前倒しされるのですから,学級崩壊が起きるタイミングも小学校中学年・低学年にずれ込む可能性は大いに高いと言わざるを得ないでしょう。
③小学生で既に「英語を諦める子どもたち」が増加する恐れがあります。
「書く」技能は,まずスペルを正しく認識できる状態で,反復練習しなければなりません。現時点でさえ,ローマ字が読めない,書けない中学生は多く,書き写す作業の中で, b と d や, p と q が逆になってしまう子や,ローマ字読みで一気に1単語を書ききれない子は,1語を書くだけで集中力を損ねてしまいがちです。これを5,6年生にさせないといけなくなるのですから,根気を育んでおかなければ,英語そのものを諦めてしまうことでしょう。
英語・数学・理科・作文力を養わないとついていけません。(特に2019年時点で小4以下のお子さん)
少しでも早い時期から学習の習慣を確立することです。
①宿題をさせてから遊ばせること。
保護者の方から,「遊びから帰ってから学校の宿題をさせると深夜までかかってしまう」と相談されることがありますが,これは逆です。小学校低学年のうちから『宿題をやってから遊ばせる』ご家庭では,徐々にお子さん自身が効率的に宿題を済ませられるよう自分を律するようになっていきます。それが集中力を増すことにつながるのです。
②読書の時間を持つこと。
図書館の利用率が高い福井県ですが,中には「目を通すこと」=「読むこと」と勘違いして,借りる数を増やすことに目的が変わってしまっているお子さんもいます。家族で同じ本を読み,内容や感想を聞く時間を作ったり,小さいノート1ページ程度で,「おもしろい」という言葉は使わずにその本を読んで感じたことを書かせたりする時間を作ってみてください。自分の考えを人に伝える練習は,これからの教育に必要不可欠です。
③検定試験を活用する
学習目標を設定することは大切です。そのためにも小学校卒業までに英検5級(中学受験する人は,英検4級〔使用語彙数600~1300〕),漢検5級(中学受験する人は,文検4級と漢検4級,語彙・読解力検定4級)を取得しましょう。こうした検定を受けることに慣らしていかなければ,新しい大学入試制度には対応できなくなることでしょう。進学するにつれ,こつこつ努力を積み上げることの大切さは,『分かっていても実践できな』くなっていくものです。
何を当たり前のことをとお思いでしょう。でも,こうした一つ一つの努力無くして基礎学力は身につかないのです。
安倍晋三首相は「AIやビッグデータなどのIT、情報処理の素養はこれからの時代の『読み書きそろばん』」とした上で、「大学入試において国語・数学・英語のような基礎的な科目として情報科目を追加し、文系・理系を問わず学習を促していく」と述べた。
高校では2022年度に、共通必履修科目としてプログラミングを含む「情報I」を新設することが決まっている。今後は林芳正文部科学相が中心となり、22年度に入学した生徒が受験する24年度の大学入学共通テストを目安に情報科目の導入に向けた検討を進める。
プログラミング教育の強化には、高度な知識をもつ教員の確保が急務だ。文部科学省の調査によると、15年5月時点で情報科の担当教員5732人のうち、情報科のみの担当は2割だった。
数学など他教科との掛け持ちは5割で、情報科の免許を持たないが特例で認められた「免許外教科担任」が3割。文科省は各自治体の教育委員会に対し、免許保有者の計画的な配置や、現職教員の免許取得などを促し、大学入試に対応できる教育現場の体制を整える。
『2018/5/17日本経済新聞より引用』
①必須英単語数の増加
〔聞く・読む・話す・書く 4技能レベルで1600~1800語の英単語習得(小学英語と合わせると2200~2500語)〕
⇔ それまでの教科書は1000~1200語,英検3級(使用語彙数1250~2100語),英検準2級(使用語彙数2600~3600語)
⇔ 準2級は新指導要領の教科書内容でも不足しているのですから,「英検取得級が上位になるほど通塾率が高い(2018.6.6福井新聞より)」のは,当たり前のことと言えます。
②英語の授業は原則英語で行う
⇔ 前学習指導要領から高校では『英語の授業は原則英語』となっていますが,多くの学校で実践されていないのが現状です。
③算数・数学の学習単元前倒し
高1で学んでいた「データの活用」が中1,中2に分散され,命題に関する扱いも少しだけ今の高1で習う内容が入ってきます。
ⅰ)数学・英語の出題内容のレベル分け〔2018より実施〕
進学系(16校23学科)が応用レベル(記述・論述型の設問が多め),職業系(13校48学科) が基礎レベルの問題を使用。
ⅱ)英検加点制度(5点加算) 〔2018より実施,2019は加点条件を変更して実施 ⇒ 今後も加点条件が変わる可能性大〕
☆2018年度の入試は,3級取得者に5点,準2級取得者に10点,2級取得者に15点
☆2019年度は,藤島・高志・金津・敦賀〔普通〕,武生〔普通・理数〕,武生東〔国際〕,若狭〔文理探求〕は,準2級以上取得者に5点加点,上記以外の22校55学科は,3級以上取得者に5点加点
いずれも加点後の英語の点数の上限は100点を越えないものとする。
ⅲ)特色選抜の導入(校長の推薦が必要だった体育・芸術推薦と,福井国体に向けたジュニアアスリート強化選手が対象の体育推薦は廃止) 〔2019実施より実施〕
校長の推薦が不要で,硬式野球のボーイズリーグなど学校の部活動以外で活動し推薦が得にくかった生徒も推薦対象となる。
実績や調査書(内申書),学力検査,面接などで選抜する。 ⇔ 10月に詳細,1月実施
ⅳ)英語のスピーキングテストの導入?
2018.2.23 県教育長会見で打ち出されたが,2019年は実施されず。
2018.12.6 2021年度からの導入を目指すと発表。
ⅴ)記述・論述型の設問が増加
大学入試の記述問題や思考型問題に応じるように,プレゼンテーション力を求める作文や,複数の資料から課題を考え,改善策を問うものなど,出題レベルが上がっています。
②原則英語授業の有名無実化の恐れ
高校生でも実現できないものを中学生に求めるのは酷。無理にやろうとすれば,ついていけない子は置き去りにされ,授業崩壊を生みだすことになりそうです。日常生活の中で,英語を使わないとコミュニケーションが取れない環境ではないため,都市部の子どもたちよりその必要性が理解しにくい点から改善していく必要があるでしょう。
③定期テストや確認テストの平均点の低下
各学校の英語・数学の平均点が記述・論述型の設問が増えたことで,以前より低下しているように感じます。実際,確認テストである学校の英語の平均点が30点台だったこともありました。ただ,80点以上の点数を取る子どもたちの割合は変わっていないので,中堅どころの空洞化,つまり「できる」か「さっぱりできない」かに2極化が進んでいると考えられるでしょう。
①夢から逆算すること。
面白い調査結果があります。
東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所が実施した「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」の結果を拝見すると,「将来なりたい職業(やりたい仕事)」が「ある」と回答した子どもの比率は,小学5年生の69.3%をピークにして,その後は学年を経るにつれて下がり,中学3年生では44.4%と最も低くなっています。高校生になると,再び比率は増え始めますが,高校3年生でも60%に達していません。中学生の時期に比率が低くなるのは,視野が広がり,社会についての知識も増えていくなかで,自分の実力と将来の夢の間に立ちふさがる「現実」の壁と向き合い,より現実的に考え始めたことで,なりたい職業を決めきれなくなっているのだろうと推察できます。また,クラレ(ランドセルメーカー)が実施した「将来就きたい職業」,親の「就かせたい職業」アンケートの結果を見比べると,親は「公務員」「医師」「看護師」「薬剤師」「会社員」等の安定した職業に就かせたいようで,その気風は今も昔も変わらないようです。
しかし,長年の経験を踏まえて考えると,『将来,私は〇〇になりたい』と公言することのできる生徒は,中学,高校と進むにつれて勉強に対する意欲が衰えず,最終的にその夢に近づくような大学や専門学校に進学できています。逆に,今の自分で行ける進学先でいいという生徒は,どんどん友に追い抜かれ,いつしか進学もままならないような状況に追い込まれているといったケースをよく目にしてきました。
他にも,親のえがいた進学先と子どもの夢が乖離しすぎているものの,それを親に打ち明けられないままズルズル時を過ごし,ギリギリの段階で親子ゲンカを繰り広げることになったこともあります。
「将来なりたい職業が見つからない」「小学生のときは,なりたい職業があったけれど,今はない」というような言葉がお子さんから聞かれた場合,何かのギャップに苦しんでいるのかもしれません。ぜひ,お子さんの胸の内を聞いてあげてください。そうした働きかけが出来ている御家庭のお子さんは,「意欲」が高くなるのです。
②「しない」と「できない」を履き違えないこと。
「中3の夏までは部活があるから。」
「部活で帰宅が遅いのに宿題なんてやる時間がない。」
「学校の宿題が多くて塾に行く暇はない。」
「○○検定とか受けてみたいけど,部活の練習があるし,私だけ休むと皆に迷惑かけるから」
「ともだちもみんな〇〇していないから,自分も〇〇しなくていい」,等々。
勉強ができないことの理由にお子さんからこれらのセリフを聞いたことはありませんか?
これは「できない」んじゃありません。「しない」んです。
部活があるお子さんはみんな勉強できませんか?宿題をやっていませんか?検定を受けていませんか?
ともだちみんなって具体的に誰ですか?
いずれも部活や友だちに責任を転嫁して,自分に都合のいい理由をつけて勉強から逃げているだけです。
「分かりませんでした」「できませんでした」と言って真っ白なワークをドヤ顔で見せてくるお子さんもいます。
しかし,そういうお子さんのほとんどは,提出日の直前まで何もしていません。保護者の方も課題の有無を確認していません。
まず,そこを改めない限り,「分かりかけた」部分も「分からない」になり,何も改善できません。
学校でも塾でも「しない」ままでは,確実に「できない」状態になります。
やらねばならない課題を毎日必ず保護者の方も確認してあげてください。
できない子の保護者ほど,「子どもの主体性に任せる」と放置しているケースが多いことを認識しましょう。
「しない」を減らす手段の一つとして,1日の,1週間の,1か月の目標を決め,それを家族皆の目につくところに貼るという方法があります。
その際,本人ができるという目標をたてましょう。そしてその目標が実現できなかった時にペナルティを決めておくのもいいでしょう。
それを継続していくことが,基礎力を固めるには欠かせないのです。
基礎力を固めなければ,多くのことを求められている今の教育には太刀打ちできなくなるのは自明の理です。
「しない」を増やすことは,沼田の上に家を建てるようなものなのです。
③読書の時間を持つこと・書き写しの時間をつくること。
中学生になると,お子さん自身のこれまでの体験や語彙力が小学校の時以上に,文章理解力に,漢字力が問題を最後まで読みきる力に,読書量が作文力に大きく影響してきます。
例えば,「戦争教材」。「ちいちゃんの影送り」「一つの花」「木琴」など小中学校にわたって多くの学年で学びますが,ここで珍妙な解答をする子どもたちの姿をよく目にするようになりました。
実際,私たちは戦争を体験していませんから,祖父母や親から聞いた話や,本で知り得た惨状から想像を膨らませるほかありません。しかし,読書量の不足している子どもたちは,平気でモノに溢れた今の日本を基準に解答を考えるのです。
そう,食事に困った農民に『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』と言ったマリーアントワネット(諸説あります)のように。
このような感覚のずれは,多くの書物にふれ,同じ時代の世情の描写を照らし合わせていく中で醸成していかなくてはなかなか自分のものにはなりません。その為にも読書感想文コンクール指定図書などを参考に,自分好みでないジャンルの本も含めて読む時間を設けていただきたいのです。
また,『ことわざ辞典』や『格言集』の類の書物を読むことをお薦めします。自学ノートに毎日1つ,自分が知らなかったことわざや格言を取り上げ,その意味を書き,その言葉を用いた文を作る。これだけで構わないのです。そして,可能であれば,新聞のコラム(福井新聞なら『越山若水』,朝日新聞なら『天声人語』)を毎日原稿用紙やノートに書き写すようにしてみてください。
どんどん記述式の問題量が増えている中で,こうした語彙力増加や,文章を書くことに慣れるよう努力することは,毎日の鍛錬がものをいうのです。
④検定試験を活用すること。
学習目標を設定することは大切です。そのためにも中学校卒業までに英検3級(大学進学を考える人は,英検準2級〔使用語彙数2600~3600語〕),漢検3級(可能ならば,漢検準2級以上と文検3級,語彙・読解力検定3級)を取得しましょう。将来,大学入試で推薦入試を受けることになった場合,新しい大学入試制度では『いつ』これらの検定級を取得したかを記載することになりますので,少しでも早い学年で取得することは,大きなアドバンテージになるのです。
①必須英単語数の増加
〔聞く・読む・話す・書く 4技能レベルで1800~2500語の英単語習得〕
☆小学校から累計すると習得単語数は4000~5000語に。
⇔国が求める水準は,CEFRでB1(英検2級相当),B2(英検準1級)以上
⇔実際は,国公立高校に通う高校3年生の7割以上がA1レベル(小~中2)
(2014年度の調査)
②教科横断型科目「理数」の新設
かなり高度な理科や数学の探究活動を行う「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH,福井県では藤島・高志・武生・若狭高校)の取り組みを参考に検討されてきました。理数探究を選択する生徒のイメージを「卒業後に,大学・大学院に進学し,主として数学や理科の分野に向けた学習を継続する意思を有する生徒」としていることからも,かなり明確な目的意識と意欲,そして高い能力を持って履修する生徒を想定しています。「探究」科目は,座学では済みません。まずは探究の手法や流れを習得した後,自分で課題を設定し,試行錯誤を繰り返しつつ観察・実験を行い,成果を発表することが求められます。「自分で課題を設定する」ことは,高い知的好奇心が必要です。子どもたちの「なんで?どうして?」を大事にしていかなければなりません。
また,この科目は,共通テストの科目にする案も出ています。どのような形式で出題されるのか?どのような内容を問われるのか?目を離せない教科になりそうです。
③数学Cの復活とそれに伴う学習単元の移動
ベクトルが数Bから数Cに移動します。(文系は習わなくなるということ。)
「ふ~ん。それがどうしたの?」と思っているかもしれませんが,実は怖いことです。
ベクトルが扱えない ⇔ 物理の力学の初歩的な考えが理解しにくくなる。 ⇔ 物理の授業の理解に時間がかかる ⇔ 物理選択者の減少 となり,益々理系離れが進むかもしれません。
数学Ⅱにデータ分析や統計的な推測が移ります。(数Ⅱは全てが必修単元です)
この単元は,これまで数Bに収められていて,数Bは3項目中,2項目以上を選択履修させればよかったため,大抵の学校がベクトルと数列を学習し,確率分布と統計的な推測は教えないという状況でした。実際,県内の多くの学校が利用している教科書傍用ワーク『サクシード』には確率分布と統計的な推測に関する問題すら掲載されていません。
経済学部など文系学科の入試科目に数学を含むようにした大学もあり,これまで以上に情報処理能力を問われるようになるなか,扱いが最重要化する可能性が否定できないのです。
④日本史Aと世界史Aを統合した「歴史総合」を新設,必修科目に
⇔これまで必修科目だった「世界史」は必修科目でなくなる。
⇔日本史Aと世界史Aは,それぞれ近現代史を中心とした内容なので,フランス革命以降の世界史と明治維新以降の日本史が範囲に。
今後の扱い方に注目しなければなりません。
教える中心となる内容がこれだけ大きく変われば,各学校の対応力,適応力が子どもたちの学力に直結します。長く教えてこなかったものを教える際には混乱が伴うものです。まして,入試制度そのものも変わるわけですから,「上の子が大丈夫だったから」,「高校入試のときのように,大学入試前に頑張れば何とかなるだろう」などと気楽に考えて何も手を打たずに努力を怠れば,早い段階でお子さんの未来が詰んでしまう可能性があるのです。
②指導内容の空洞化も拡大
小学校,中学校生活の間に『前倒し』にされ続けた学習内容による学力格差の拡大
⇒高校,各科,各クラスの授業もその内容に大きな偏りが生まれる
(新指導要領になっていない今の時点でさえ,学習進度が速いクラスや,学習進度をそれに合わせるために,発展系の問題や,プラスアルファになる公式等を省略して進むクラス,公欠が多く授業が遅々として進まないクラスなど『普通科』の中でも教科書内容をきっちり教えているクラスは数えるほどしかありません。)
⇒新入試制度により,これまで推薦入試してもらえた生徒が条件不適合になる可能性が生じる
など,受験生に厳しい状況が発生しやすい状態であることを認識していただきたく思います。
さて,そもそも何故こんなことになったのか?
すべては「大学入試改革」から始まったのです。この大学入試改革で何が変わるのか?詳しく見ていきましょう。
現在のAO入試が「総合型選抜」に,推薦入試が「学校推薦型選抜」 に名前を変えます。単に名称が変わっただけであれば,どうということはありませんが,大きな変更ポイントは3つ!
1)「総合型」,「学校推薦型」ともに「各大学が行う評価方法」*または「共通テスト」のうち少なくとも一方を利用することが必須になったこと。
特に学校推薦型選抜では,推薦書に学力の3要素に基づいた評価の記載が必須になりました。
*各大学が行う評価方法とは,自らの考えに基づき論を立てて記述させる評価方法〔小論文等〕,プレゼンテーション,口頭試問,実技,各教科・科目に係るテスト,資格・検定試験の成績などを指します。
2)「調査書」の「指導上参考となる諸事項」の欄が拡充したこと。
これまでは,3つの枠があり,
(1)学習における特徴等,(2)行動の特徴,特技等で1枠,
(3)部活動,ボランティア活動等(4)取得資格,検定等で1枠,
(5)その他で1枠
といった状況でした。これが,
(1)各教科・科目及び総合的な学習の時間における特徴等
(2)行動の特徴,特技等
(3)部活動,ボランティア活動,留学・海外経験等
(4)取得資格,検定等で
(5)表彰・顕彰等
(6)その他
の6つに分けられるのです。しかも,活動期間や受賞歴の詳細まで書かないといけないのです。
その上,これまでは表裏の両面1枚と書く量も制限されていましたが,これが撤廃されるのです。これまでスペースの都合上記載することができなかった事柄も書けるようになる一方,実績と認められるような記載事項がない場合,少なさが目立つことになるでしょう。
つまり,推薦をメインに大学入試を考える人は,今まで以上に積極的に社会に貢献する高校生活が求められるのです。
3)「成績評定値」にも改革のメスが入ったこと
これまで推薦入試の際に主な選抜基準となってきたのが「評定平均値(教科それぞれに,高3の1学期までの成績を5段階評価した数値を平均したもの)」です。そして,ゆとり教育以降,その成績をつける基準は「絶対評価」なのです。
これは学校が定めた学習目標に対してどの程度到達できているかを示すもので,極端な話,全員に5をつけてもいいことになります。また,「絶対評価」の基準は完全に明確になっているわけではないため,学校間で格差が生じてきます。2020年度から「学習成績の状況」に呼称を変え,2024年度から更なる見直しを検討するということですが,内容については不透明なままです。高校の評価の仕方や成績につけ方にも影響してくるかもしれませんので,今後の情報をしっかりつかんでいかないといけません。
高等学校基礎学力テストと呼ばれてきたものでいつの間にか呼称が変更されていました。不透明な部分が多かったこのテストですが,どうやら民間に丸投げした感が強いものとなってきました。
2018年12月26日の文部科学省の発表によると,
1)9業者25試験を「高校生のための学びの基礎診断」に認定した。
認定期間は2021年度末まで
教科 | |
日本漢字能力検定協会 | 国語 |
ベネッセコーポレーション | 国語・英語・数学
3教科セット |
日本数学検定協会 | 数学 |
教育測定研究所 | 英語 |
ケンブリッジ大学英語検定機構 | 英語 |
Z会ソリューションズ | 英語 |
ブリティッシュ・カウンシル | 英語 |
学研アソシエ | 3教科セット |
リクルートマーケティングパートナーズ | 3教科セット |
2)2019年から各地の高校で本格実施
3)「基礎診断」の教科対象は国語・英語・数学
4)入試判定には反映しない
というものでした。
文部科学省WEBサイト「高校生のための学びの基礎診断」制度についてによると,
実施内容の概略として,
・国数英で共通必履修科目を上限として開始。義務教育段階の内容を一部含める。
・知識・技能を問う問題を中心に,思考力・判断力・表現力を問う問題をバラ
ンス良く出題。難易度の異なる複数レベルの問題のセット。
・記述式の導入など多様な解答方式を採用。英語は4技能の測定を前提に検討。
・段階表示で結果を提供。指導の工夫・充実に資する情報提供。
・当面CBTは必須とはしない。検討・研究を継続。
・回数・時期,対象学年は学校が選択し,会場は学校実施を基本。
・受検料はできるだけ低廉な価格で。
と記載されており,更には,
2023年を目途に,実施状況について検証を行い,その結果に基づき,次期学習指導要領への対応等の必要な措置を講じることとする。
なお,「高校生のための学びの基礎診断」の結果の副次的な利用については,認定制度の着実な定着を図りながら,「最終報告」を踏まえ,高校生の学習意欲や進路実現への影響等に関するメリット及びデメリットを十分に吟味しながら,高等学校や大学等,企業をはじめとする関係者の意見も踏まえ,更に検討を行うこととする。
とあります。現時点でも不透明な部分が多く,これまでに伝えられてきた
・2019年度~22年度は,試行実施期間で,大学入試などへの利用が始まる本格実施は2023年度
・現在高1の生徒から始まり,高2から高3の初秋にかけて行う。全国学力調査の高校版をイメージ
・スタート時点では,国英数の3教科だが,後々は5教科のうちの必履修科目に拡張
・実施日は高校ごとに異なる
・CBT-IRTの導入(当面は紙のテスト)をどうするか
「CBT」とは,Computer Based Testingの略称で,コンピューターを利用した試験の総称を指します。
「IRT(項目反応理論)方式」とは,受ける問題が違っても,同じレベルの学力が測れるようにすることで,それには,膨大な量の問題とそれらをランダムに出題しても妥当なものになるよう,「テスト理論」に基づいた試験問題の精査が必要になります。何万人規模のテストに対応できるか?
と大差はありません。業者が決まっただけですね。これまでも福井県では7月,11月,1月に県連模試〔ベネッセ〕を行ってきただけに名称が,変わるだけのような気がします。ただこれまでも,数学に関していえば,ベネッセ県模試は,同社の添削教材と問題が酷似し,それをやっている子どもたちはベネッセ県模試では高得点,他社主催の県模試では点数が下がるといった傾向が強く出ており,益々数研出版とベネッセ色の強い問題にしか対応できなくなりそうな予感がします。
また,「各地の高校で本格実施」とありますが,「漢検」や「数検」の学校外の受検者が不利になるようなことがないよう願いたいものです。
2018年度のセンター試験と2017年度共通テスト試行調査で比較検討すると,
☆国数3題ずつ記述式問題を出題(→国語20分,数ⅠA10分の試験時間延長,問題冊子のページ数が増加,設問数の減少〔得点配分が高くなるということ〕)
☆答えが複数ある問題の設置
☆記述式問題の扱いの違い
国語 :200点の中に点数を含めない。記述式問題の採点は民間事業者に委ねられる。評価の公平性が確保できない
数学ⅠA:100点の中に点数を含める。正答か誤答かのいずれかで採点。
☆英語に民間認定試験を活用(これまで他言語でセンター試験を受けていた人たちの扱いは不透明)
受験年度(高3時)の4月~12月に対象試験の中から,受験生が選んで受検する。
2回までの試験得点と,CEFR6段階評価を受験生の志望大学に送る。〔→都市部の生徒はチャンスが多くなる?〕
2020年度〔現高1以降の学年〕から2023年度〔現中1の学年〕までは… マーク式と認定試験の併存(両方必要)
2024年度〔現小6以降の学年〕からは… 認定試験に全面移行
☆見た目は10年で2倍増!? それだけでも大変なのに実際は・・・
現在,21歳~29歳の人たちが高校までで必須とされた英単語数は,2200語(中900+高1300)。20歳未満の人たちのそれは,3450語(小450+中1200+高1800)。そして,小3以下の子どもたちは,4000~5000語もの単語を覚えないといけないとされているのです。10年で2倍以上も覚えなければならない単語数が増えたなんて大変だ!と感じていただけるでしょう。現在使用されている中学校の教科書を見ると,「特に覚えたい語(600語)」と「覚えたい語(659語)」すべての単語を覚えて1259語になりますが,この両方をきっちり覚えている生徒は果たして何人いるでしょうか。また,大学入試共通テストの試行問題に用いられていた英語語彙数は5500語ありました。つまり,教科書の単語を全部覚えても,大学受験には十分ではないということですね。
英検2級(使用語彙数3600~5100語),英検準1級(使用語彙数7500~9000語)